行きすぎた「おもてなし」

こんばんは、ミュウです。

今日(日付が変わったので正確には昨日でしたが)は父の日です。
皆さんはお父さんに何か特別なことをしましたか?
私も毎年、多少ではありますが贈り物はしています。
ただ、「母の日」「父の日」なんてなくても日頃から感謝しなければいけないものだと思っているので、私の中では父の日や母の日には少し違和感があります。

さて、今回の話題はおもてなしについてです。

2020年のオリンピック開催地決定のプレゼンテーションであった「おもてなし」という言葉が一時期流行りました。
その前から外国人には、日本人は誠実で礼儀正しく、他人に対して思いやりのある民族だという評価もされていたようなので、今まで意識せずともおもてなしをしていたのだと思いますが、これをきっかけにして一気に「おもてなし」という意識が高くなりました。

さて、学習塾もサービス業ですから、当然ながらおもてなしは重要な接客の要素になります。
しかし、その「おもてなし」の精神が酷い結果を生み出しているケースもかなり多くなってきました。
その中で私個人が気になったのが、男子ゴルフのプロである片山晋呉氏のプロアマ戦での言動が非難を浴びている件です。

まず、この件の内容について簡単に書きましょう。
ツアー前日の5月30日に行われたプロアマ戦にて、片山氏の言動によってゲストのアマチュア選手が不快になって途中でプレーを中止したというものです。
報道によると、片山氏はポケットに手を突っ込みながら会話したり、前の組が詰まっているからといってグリーン上で自分の練習をし始めたりと、ゲストを見下したり蔑ろにしたりする言動をしていたようです。

以前から片山氏の言動を非難するファンは多かったようで、それに加えて、現在は男子ゴルフの人気低迷に危機感を持った選手会がファンサービスなどに力を入れようという取り組みをしている真っ最中で、片山氏の言動はそれに逆行するものだということで更に大きな批判になりました。

さて、私は片山氏の言動を擁護する気は全くありませんし、そこについて今回書きたいわけではありません。
私が気になったのは、「ツアーの前日」というところです。
スポーツニュースなどでも
「明日からゴルフの○○ツアーが始まります。」
「□□選手がコースで練習を行い、明日からのツアーに向けて調整しました。」

などというのを聞いたことがある方も多いでしょう。
つまり、ツアーの前日というのは、選手が良い成績を残すために調整を行う大事な日であるはずなのです。
それなのに、その大事な日にプロアマ戦。
しかも、プロアマ戦に出場するアマチュアはプロに近い実力を持っているとは限らず、スポンサー関係者やファンのような一般人もいるようです。
大会を支える大事な人々であるわけですが、そのような人々をおもてなしするのですから、プロから見ればただの接待ゴルフです。
そのような接待ゴルフを、選手の調整に最も影響が出るであろうツアー前日に行うのは何故なのでしょうか?

片山氏はプロアマ戦の出場を特に嫌がっていた1人だったそうなのですが、他にもプロアマ戦の出場を嫌がっている選手はいるようです。
今回の片山氏の問題をきっかけにして、プロアマ戦に出場したくないという選手への批判も起こっているようですが、大事な調整を後回しにして接待ゴルフをしなければならないと考えると、私は何となくプロアマ戦に出場するのを嫌がる気持ちは理解できます。
プロ選手として大事なのは、ファンやスポンサーへのサービスもそうですが、良いプレーを見せて活躍することが最大の仕事だと私は思うので。

このように、今の日本では、大事な部分を犠牲にしてまでおもてなしに力を入れすぎているように私は感じます。
それは、私が働く塾業界・教育業界もそうですし、他のサービス業でも当てはまることだと思いますが、この「おもてなし」を悪用する人も非常に多いです。
その1つが「お客様は神様」という言葉を盾にした理不尽な要求をする客でしょう。
また、塾業界での例として1つ挙げるとすれば、授業欠席者の扱いです。
通常、私的な理由で授業を欠席した生徒に関しては、自分の責任なのですから授業の振替や補習などは行わず、「自分で勉強してわからなかったら質問して」という程度で済ませるものです。
しかし最近では、どのような理由であっても欠席者には授業の振替や補習を行う塾が非常に多くなりました。
これは、講師の他業務の時間を削ってまで生徒のために時間を取るという「おもてなし」と考えられるでしょう。
(面倒見を売りにして顧客獲得を狙っていたり、そこまでして徹底的にやらないと成績を上げられないような質の低い指導をしていたりという、「おもてなし」以外の面もかなり大きいのですが……)
しかし、その「おもてなし」を悪用する生徒は多くなっています。
「部活で疲れたから」
「足が痛いから」
「ちょっとお腹や頭が痛いから」

などという、頑張れば普通に塾に来られるでしょという理由で休む生徒もいますし、酷いケースになると、
宿題をしていないから怒られるのが嫌で仮病を使って休む
学校の課題をずっとサボっていてこのままでは間に合わないから塾を休んでやる
前日に夜更かしして眠いから塾に行かずに寝る

などという生徒もいます。
保護者も保護者で、そのような生徒の言い訳を許したり、むしろ同調したりする保護者もいますし、
家族で食事に行くことになったから塾を休ませる
部活で10分程度遅れそうだから、遅刻してその10分を損するより別日に授業をしてもらった方がいいと考えて塾を休ませる

などという保護者もいます。

その結果、部活で疲れていても少し体調が悪くても頑張って塾に来ている生徒にとってみれば、軽々しく塾を休む生徒は特別待遇を受けていて不公平だと感じることでしょう。
集団授業の塾であれば、休んだことによって個別に指導が受けられるかもしれないわけで、得をする可能性もあるのです。
また、講師側も生徒の予定に振り回されて担当授業が変更になることもあり、無理な勤務を強いられて指導の質が更に落ちる可能性もあります。


日本の「おもてなし」という文化は非常に素晴らしいものだと思いますし、サービスを提供する側の心構えとして必要なものだと思いますが、何でも低姿勢で相手のことばかり考えれば良いというのは間違っていると思います。
サービスを提供する側にも提供する側の都合があるわけで、それをすることによって他業務に支障が出たりサービスの質が落ちたりするのであれば、それは「おもてなし」ではなく業務の優先順位を間違えているだけです。
また、「おもてなし」は、おもてなしを受ける側も感謝の気持ちを持っていて初めて成立するものだと私は思っています。
ですから、「おもてなし」が当たり前だという感覚になっている現代の価値観ではおもてなしが悪用されるのは当然なのかなと思います。
それに、その「おもてなし」のためにサービス残業を強制されたり理不尽に業務の負担が増やされたりするのがブラック企業の傾向でもありますから、現代はおもてなしする側にとっても不幸な状況です。
男子ゴルフのプロアマ戦でも、
「ツアー前の大事な日にプロアマ戦をやるっておかしくありませんか?」
などという、「おもてなし」に対する否定意見も出されるべきじゃなかったのかと思います。

サービス業に従事している立場として見ると、私は現代の「おもてなし」が過剰だと感じます。
この過剰な「おもてなし」が是正され、サービスを提供する側も幸せになれる「おもてなし」がされるべきだと思います。



それでは今回はこれで失礼します。

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